『Not So Bad』の話③ 本文【Advnt21】

出した本について書く記事です。前回のつづき。

『Not So Bad』2020.12

前回(表紙の話):

moji-ura.hatenablog.com

今回は本の全体的な話と、本文のデータづくりについて書きます。

ぼんやり設計

データづくりに着手する前に、どんな本を出すかぼんやりと設計します(ここが一番楽しいね🤪)。

小説の内容は別途ちまちまと検討&執筆を進め、ここではそれ以外の部分について。

  • JAMさんの冊子印刷は判型の自由度が高めなので、前から出してみたかった正方形の本にしよう!
  • 二色刷りでページ数が多いとあたまがばくはつするので、少なめのページ数にしよう!
  • インクや紙は好きなだけ変えられるので、インクと紙いろいろつかおう💡💡

などのことを考えました。IQ。

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設計メモ

 

このきたないメモはページごとの紙やインクの組み合わせなどを検討しているものです。ページ数を表紙込24pに仮置きした段階ですね。

イラストなどはPhotoshop、小説部分はInDesignで作成するためそのへんの整理も必要。

最終的にイラストなどは二色刷り、小説部分は一色刷りになりました。そんで、二色刷りのページと一色刷りのページで紙を変え、二色刷りのページはページごとにインクを変えることにしました。忙しい!

小説本文

上記で決めた仕様をもとに小説を組んでいきます。

正方形の本など出したことがないのでテンプレからつくる! たのしいね!

字詰とかをだいたい決めたところ↓

たてよこ138mm。一段組でもまあ問題ないサイズ感なのですが、二段にすると行文字数が雑誌みたいな感じになってかわいいかもしれんと思って二段にしました。感覚で生きている。

小説は一色刷りで、インクは茶色にしています。小説を組んだだけだとインク自体はそれほど目立たないので、どこかにインクを濃い目に載せたい気持ちになりました。よーし、ドロップキャップ入れよう。欧文組版では装飾的に使われたりするやつです。小説の舞台がパリ~ロンドンだし、合うのでは(適当)。

日本語組版は漢字かなカナ欧文が含まれるので派手なドロップキャップは作りにくい気がする。ここはたいへんシンプルに、章の1文字目だけ2行ぶんとって黒地・白抜きにしました。

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段落パネルでドロップキャップが設定できることを学んだ。

helpx.adobe.com

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行のドロップキャップ数:2

参考までに、InDesign作成分の入稿データは以下のようになりました。
[ブックレットをプリント]>[プリント設定]>[トンボと裁ち落とし]でトンボ(丸付きセンタートンボ)をつけたようだ。

薄々お気づきかと思いますが、この記事はほぼほぼ自分用の覚書です。

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小説部分の入稿ファイルは以下のとおり。

章単位とかではなく、印刷する紙単位でPDFファイルが分かれます。
↑にのっけたのが「17-8_Cha.pdf」です。

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すべて茶色インクで一色刷り。
小説の二色刷りとかももちろんやりたかった、が、二色刷りをするなら意味のある二色を効果的に使いたい(ハードルがたけえ)ので、今回は見送りました。れいせいなはんだん。

イラスト本文

イラスト部分は表紙と同様の作り方です。

中綴じ製本なので、たとえばP.9とP.16が一枚の紙に印刷されます。ここは「濃紺」と「スカイ」の二色で刷りました。

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濃紺版

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スカイ版

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カラーイメージ

Shoes of the dayは本編と特に関係のないおまけページです。くつ描くのたのしかった。

で、Photoshop作成分の入稿ファイルはこんな感じでした。

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  • P.3とP.22:ボルドーとラベンダーの二色
  • P.9とP.16:濃紺とスカイの二色
  • P.15とP.10:ボルドーと桃色の二色
  • P.21とP.4:茶色と橙色の二色

そのた

本をつくるときは、イメージ(主にサイズ感)をつかむためになるべく試し刷りをするようにしています。

製作前~中のスケッチとかが残っていたので貼っておく。

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表紙(中扉)の雰囲気を検討しているやつ

タイトル、Not GoodだったりButが入っていたりした。

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いろいろなスケッチ

特に本文では出てこないキャッチコピー「Unruly Kurokawa/Rampage Kurokawa」と「Square Maya」。(手書き、スペルミスが激しい。。

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最初タイトルのフォントこんなだった。カクカク

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インク色の検討メモとか

感想。

各データをつくってみて、二色刷りでがっつりイラスト本とか漫画本とかを出しているひとはマジで計画性があってすごいんだなぁということがわかりました。

私は絵すくなめ&混色考慮なし&半分以上一色刷りなのでかなり楽をしましたが、慣れない作業ですごくたいへんでした……!
小説本文めっちゃ短いのにこの本つくるのに数ヶ月かかりましたからね。夏から作り始めて冬に出た。

でも仕上がりがかわいくできたと思うので、全部オッケ~~~~(同人作家いつもこうなる)!!!!!

次回はおまけペーパーについて書きます。→書きました。

moji-ura.hatenablog.com