パチカカード(サークル名刺)のメイキング
(※この記事は二次創作同人に関する内容を含みます。)
少し前にサークルの名刺(兼サンクスカード)を作りました。
こんなカード。
紙好き界隈(?)で有名な特殊紙「パチカ」を使用しています。
パチカは、加熱型押し部分がキュッと凹んで半透明になる、というおもしろ性質を持っている紙です。
特殊装丁が得意な印刷所さんとか、名刺印刷所さんとかでちょこちょこ取扱があるので、見たことのある方も多いでしょう。
いつからかやりたいことリストに入れていた「パチカでなんか作る」が叶ったので、過程などを記します。
パチカキャンペーンを狙う
2020年某日、箔押し印刷工房コスモテックさんが「パチカ名刺作成キャンペーン」なるものを不定期開催されていることを知ります。
コスモテックさんは同人系の実績も数多くある会社なので、私のような恥の多いオタクでもお願いできるかも!と思い、キャンペーンの次回開催を心待ちにしつつTwitterをチェックする日々が始まりました。
(長い余談:加工とかの専門の会社は、昔から地域に根ざして続けてきました的なところが多く、いわゆる同人印刷所のようにWebサイトをめちゃくちゃ充実させて印刷初心者のオタクどんとこい!みたいな雰囲気を醸しているところはあまりない印象があり。あと、同人印刷所のスタッフさんなら何も思わないであろうセンシティブな題材とかを一般の工房の職人さんにお見せするの、なんか恥ずかしいし……。という感じで、明らかに同人感のあるアイテムを同人印刷所以外にお願いすることにちょっと躊躇いがあるのでした。これは依頼側の心境であって、そう謳ってはいなくともオタクどんとこい!な会社も多いはず。同人印刷所さんから発注を受けている場合もあると思います。結局はなんかやりたいことがあったらまず相談してみるのがよいのですよね。余談おわり)
Twitterのチェックを始めてからひと月そこらで次回開催のお知らせをゲット。
さあデータを作って入稿するぞ!
作るものを決める
図柄の構想が最初からあるわけでもなかったので、同キャンペーンの利用事例(下記埋め込みリンク)をガン見したり、パチカの作例を検索しまくったりして、ぼやっとイメージ検討を進めていきました。
そうして決まったやりたいこと:
- 今までの名刺が減ってきたのでサークル名刺を新調したい
- 自家通販などで頒布物に付けるサンクスカードも兼ねよう
- たぶん小説書きなので小説書きっぽい文字多めのデザインにしよう
以上。
データを作る
入稿データを作るときの鉄則は「事前に入稿先の規定や推奨事項を熟読する」です。これだけは本当に大事of大事だと思います。
キャンペーンのページに用意されているデータの作り方を読み、作業を開始します。
aiファイルでの入稿が基本のようだったので、Adobe Illustratorの出番です。めっちゃ不慣れだけどがんばるぞい。
ここからは図柄の中身のご紹介です。
まずは完成形:
上からサンクスゾーン、文字ぐちゃぐちゃゾーン、名刺情報ゾーンです。
サンクスゾーン
特に何も言うことはない。
Thank you!の文字を手書きっぽい雰囲気のフォントで載せました。
フォント:Adorn Pomander
名刺情報ゾーン
今までサークル名のフォントはOptimaのぶっといやつでしたが、今回の名刺作成を機に変更しました。以後はサークルカットなどでもこのフォントを使っています。
サークル名フォント:Branding Black
上下の小さいフォント:CeraBasic Regular
文字ぐちゃぐちゃゾーン
メイン図柄です。小説書きっぽく過去作の文章でも載せようかなあ。名刺は今後しばらく使うから特定のジャンル・カップリングのだけ載せるのはいやだなあ。む~~ん(数日考える)。そうだ、過去作の文章いっぱい載せよう。判別できない程度に重ねたらいいのでは。いっぱい重ねることで加工面を増やしてパチカの半透明も楽しめるかも。決まりー!
入稿データの黒色(K100)部分が型押しで凹むところ、白色部分が凹まずそのままになるところです。
黒色部分がガッツリあったほうが面白いだろうということで、黒いモチーフの上に白文字を重ねるスタイルにしました。
モチーフは色々案がありましたが、階段が好きなので階段に。
舞台にも階段は付き物ですし、創作を続ける限りは階段を登って生きていきたいという決意です(適当)。
過去作から文を抜粋してべったり貼っていきます。比較的気に入っているフレーズをピックアップ。
文字を重ねたいだけなので可読性は無視。形だけ楽しんでこ! このレイヤーはフォントサイズを大きめにしました。
変化を付けたくてフォントを変えて横書き。白部分が偏らないように斜めに改行してバランスをとっています。
※これはイラレ編集画面のキャプチャなので文字の線が汚めですが、実際はちゃんときれいな文字になっているのでご安心ください。
「。」が行頭にあるのとか通常の組版ではありえないんですけど、形だけ楽しんでるので全然オッケー!
全部重ねた。ワハハ。
文字類をアウトライン化して、入稿データ完成です。指示のとおりにメールで入稿し、受付完了。お疲れさまでした。
できあがった!
しばらく待つと完成品が届きました。テンションがばくあがりする瞬間である。
しっかりと「熱」と「圧」をかけるので、細かすぎる文字、細すぎる線、広すぎるベタは綺麗に仕上がらない可能性があるわ。
――押し押し天使ぺこみ
入稿テンプレート内で天使が上記のように言っていたので、細かい部分は潰れるかもな~まあなんでも許容~!!と思っていたのですが、全然潰れなかった。
写真だとよく見えないのが残念ですが、まじで文字が全部生きてました。
実物をお持ちの方は、光の当たる角度を変えながらガン見していただくと、角度によって読みやすい文字列が浮かんでくると思います。
読もうと思えば文章が読めます。
光を当てると熱加工をした部分だけ透けます。これぞおもしろ性質。
↑カードと一緒に納品してもらえる型押しの版です。
ぐちゃぐちゃ重ねた文字が精細に反映されていることがわかります。技術はすごい。
パチカカードは以下動画のように1枚ずつ押し加工をされてできあがったものなのです。この場を借りてご担当くださった方に感謝。
以上、パチカカードのメイキングでした。
カードはBOOTHの自家通販や、即売会にて頒布しています。機会がございましたらぜひお手にとってご覧ください! カード目当てでも全然ええんやで。